砂防ボランティア全国連絡協議会は、都道府県砂防ボランティア協会等各地域の砂防ボランティア協会相互の連絡、情報交換等を行うことにより、砂防ボランティア活動に資することを目的として、平成9年に設立されたものです。「斜面判定士」の認定機関です。
令和6年11月13日
平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、震度7の激震が走り、兵庫県を中心に、近畿圏の広域で、多数の人命が失われるとともに建物や交通網、さらに行政機能に大きな被害をもたらしました。
土砂災害については、六甲山地を中心に各地で山腹崩壊やがけ崩れの発生が危惧されましたが、被害状況の把握が困難であったため、当時の建設省砂防部は、砂防関係の直轄事務所、都道府県の砂防課、砂防関係のコンサルタント等に関係するOBを含む砂防技術者に現地調査を依頼することにしました。
それを受けた全国各地の砂防技術者が、大阪、姫路、淡路島の3箇所に設けた拠点に集結しました。道路の不通箇所が多く、また、現地の地理に不案内ということもあり、点検作業は困難を極めましたが、総勢346名により約1100箇所の危険箇所の点検を実施し、その結果が兵庫県に提供されて、二次災害防止のための取り組みに活かされました。私もこの参加者の1人でした。
この経験を踏まえ、建設省砂防部では危機管理の視点から、砂防ボランティア活動に意欲のあるOB砂防技術者を組織化することとして全国に呼びかけました。その結果、平成8年4月に和歌山県砂防ボランティア協会が設立されたのを皮切りに、全国で砂防ボランティア協会が設立されるとともに、直轄砂防関係のOB技術者の組織化についても順次進み、令和6年11月現在、砂防関係ボランティアの登録は71団体となっています。またこれら団体の中には、NPO法人化した組織が17団体にのぼります。また同じく平成8年に斜面判定士制度が創設され、砂防ボランティアのうち一定の土砂災害に関する知識と経験を有する者が、各都道府県等砂防ボランティア協会に登録されています。
砂防ボランティア全国連絡協議会は、平成9年6月に、各砂防ボランティア協会相互間の連絡、情報交換を行い、砂防ボランティアの活動を円滑に実施することを目的として設立され、例年、春と秋に全国連絡協議会を開催し多くの団体に参加いただいているところです。また6月の土砂災害防止月間には、国土交通省等の主催による「土砂災害防止全国の集い」の開催に合わせて「砂防ボランティア全国のつどい」を開催しており、砂防ボランティア活動等に顕著な功労があった方々に対する「砂防ボランティア活動等功労者表彰」や「斜面判定士認定証の授与」を実施しています。
砂防ボランティア協会及びその会員は、土砂災害から地域住民のいのちとくらしを守るため平時より、メンバーの意欲と砂防に関する経験や知識を活かして、独自の活動を展開されています。災害に係るボランティア活動ついては、災害対策基本法をはじめ様々な行政文書に位置づけられるようになり、各地域における官民双方との連携が期待されています。
一方、各団体より、活動に関する様々な課題が提示されています。新規会員の減少と高齢化、収入の減少や交通費等の工面など共通の課題として挙げられます。これに対し、同県内のボランティアとの協働や、行政現職職員や民間企業等へ幅広く声掛けして参加を促し活動を継続するとともに、県や直轄事務所からの業務受託が可能な体制や組織づくりにも取り組まれるなど、各団体の置かれた状況に応じて様々な工夫を講じていただいています。
今後、頻発化・激甚化する豪雨災害や切迫する大規模地震の発生に備え、地域防災の一端を担う砂防ボランティアや斜面判定士の役割は、国土強靭化、安全で活力ある地域づくり、被災地の迅速な復旧・復興に向け、平時・発災時ともに益々重要となってきます。
全国で6000名を超える組織となった砂防ボランティアや斜面判定士の方々の活動が、スムーズに進むよう努力してまいりたいと思いますので、ご支援、ご協力方、どうぞよろしくお願い申し上げます。
砂防ボランティア全国連絡協議会
会 長 今 井 一 之
〒102-0093
東京都千代田区平河町2-7-4砂防会館別館
一般財団法人 砂防フロンティア整備推進機構 企画調査部内
TEL:03-5216-5872
FAX:03-3262-2201