平成22年4月から平成30年3月まで、8年間にわたり国立大学法人筑波大学大学院に寄附講座「環境防災学」を開設し、砂防に関する国内外の多くのフィールドにおける実践的な教育・研究活動を通じて、土砂災害に関する高度な専門技術者と研究者を養成すると共に、深層崩壊や火山噴火に伴う大規模土砂災害に対処できる人材育成を図るため、社会人を対象にした奨学金制度を設けるなど積極的に支援した。
国土交通省及び地方公共団体が主催する6月の「土砂災害防止月間」や、国土交通省が主催し多くの学生が参加する「キャンプ砂防」などの砂防関係行事のほか、地方公共団体及び関係団体が主催するさまざまな砂防関連行事に協賛・助成を行うとともに、国土交通省等が主催する研修会等への講師派遣等を行っています。
木村基金(以下「基金」という。)は、当機構初代理事長の木村正昭氏のご遺族より寄贈された浄財を基に、平成8年3月に設立されたもので、基金による事業については当機構の公益目的事業として位置づけ、砂防に関する助成事業等を行うことにより土砂災害等の防止の推進に寄与することを目的としています。
具体的には、
①砂防に関する調査、研究、研修等への助成
②諸外国の砂防に関する調査、研究、研修等への助成
③その他基金の目的にかなう事業
に対して助成を行うこととしており、令和5年度までの27年間で227,167千円余の助成事業を実施してきています。
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(一財)日本宝くじ協会からの助成金を活用した事業は、平成4年度から砂防指定地などの保全整備に関する事業の推進を図ることを目的に、モニュメントなどの啓発施設を設置・寄贈するとともに、当機構の広報誌「砂防フロンティア」の作成・配布を行ってまいりました。
平成16年度からは、「スカイビューマップ(各県ごとの土砂災害警戒区域図を背景図とともにDVDに編集したもの)」を作成して県・市町村へ配布し、市町村の窓口で容易に土砂災害警戒区域等を確認することができるよう取り組みました。そして、平成23年度からは、砂防ボランティア団体を対象にして、3カ年で全国に27台の現場調査用車両と調査用機器を配備してきました。
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車両並びに調査用資機材配備団体
配備団体 | ||
防災千葉 砂防ボランティア活動支援研究会 湯沢砂防 梓川流域を守る会 神通砂防 石川県砂防ボランティア協会 島根県砂防ボランティア協会 山口県防災・砂防ボランティア協会 愛媛県砂防ボランティア協会 長崎県治水砂防ボランティア協会 |
北東北地域砂防研究会 |
大阪府砂防ボランティア協会 |
平成23年度配備10団体 | 平成24年度配備10団体 | 平成25年度配備7団体 |
合計27団体に配備 |
配備した調査用機器 | |
携帯型GPS | 巻尺 |
レーザー測距器 | 双眼鏡 |
デジタルカメラ(防水) | トランシーバー |
ヘッドライト | デジタル傾斜計 |
ポール | ヘルメットなど |
スタッフ |
平成26年度からは実施内容を一新し、土砂災害警戒区域等を明示した看板を現地に設置する事業を開始しています。
土砂災害警戒区域等の情報は、住民に対しては、市町村が作成するハザードマップの作成・配布により、一定の周知が可能となりますが、特に観光地など不特定多数の者が集まる場所の場合、周知することは極めて困難です。そのため、不特定多数の者が集まりやすい観光地や道の駅等において、周辺の土砂災害警戒区域などを認知してもらうとともに、自分の住居周辺に関する情報についても興味をもってもらうきっかけになれば非常に有意義であると考えています。
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当機構は、砂防ボランティアの活動を円滑にするために平成9年に設立された『砂防ボランティア全国連絡協議会』の事務局を担い、協議会の開催(2回/年)、砂防ボランティア全国のつどいの開催(毎年6月)、斜面判定士の認定等により、全国各地に設置された砂防ボランティア協会相互の連絡、情報交換等を行い、砂防ボランティア活動を支援しています。
また、安全で健やかなそして生きがいのある社会づくりに貢献することを目的に平成12年度に設置された『砂防ボランティア基金』の運営事務局を平成22年度から担い、砂防関係のボランティア団体が実施する様々な活動に対して助成等の支援を行っています。
当機構は、平成26年度から砂防施工管理研究会の活動を支援しています。砂防施工管理研究会は、砂防工事に関する施工管理安全対策、新技術活用等の現場の諸問題に関することの他、広く入札・契約・積算等の課題について調査研究するとともに、国土交通省砂防部保全課が主催する「砂防関係工事安全施工管理研究発表会」や事務所の安全協議会等が主催する「工事安全管理研究発表会」や「発注者との意見交換会」に積極的に協力する活動を行っている研究会で、毎年実施されている全国砂防関係工事安全施工管理研究発表会開催への協力活動は大きな成果を上げています。
特定非営利活動法人ネパール治水砂防技術交流会(以下「本会」という。)は、ネパールにおいて頻発する水害・土砂災害等の自然災害が、同国の社会・経済発展を阻害している状況に鑑み、同国における治水砂防技術の発展を支援するとともに、日本及びネパール両国間(以下「日ネ両国」という。)の治水砂防技術に関する情報交換を促進し、不特定多数の市民・団体等を対象に、防災知識の普及・啓発活動を行い、治水砂防技術水準の進展、次世代人材の育成、社会教育、健全なまちづくり、地域の安全性の向上等の公益の増進に寄与し、もってネパールの発展と日ネ両国間の友好に資することを目的として平成5年に設立された団体です。
当機構に本会の事務局を置き、現在は主に、治水砂防に対するネパール国民の意識の高揚を図ることを目的として、土砂災害防止をテーマとした作文コンクールを小中学校において毎年実施し、防災意識の普及啓発に取り組んでいます。