代表挨拶

 

 建設産業に携わる技術者が高齢化するとともに、若年層の新規入職者も減ってきています。そのため、労働環境や生産性を向上するための取り組みが行われており、厳しい状況ですが、実現していかなければならない課題であります。

 

 我々が携わる砂防工事の現場は、急峻な山間部に位置し他の公共工事に比較して土砂崩落など危険と隣り合わせの現場です。また、人里から遠く離れ、資機材搬入や人員輸送等に時間がかかると共に、施工ヤードが狭く、降雨時には手戻りが発生し易く、施工可能日数も限られています。このため、現場では安全確保を第一に生産性を向上する工夫が求められます。

 

 私の会社が受注する砂防工事の現場周辺では、平成8年12月、蒲原沢にて大規模な土石流が工事中の現場を襲い14名の犠牲者を出しました。それ以降、平成10年から関係する建設会社とともに、工事中の安全対策について研究発表会を持ち、土石流発生監視システムを導入し作業員の避難対策の強化や、落石など危険区域での無人化施工を実施するなどの対策を勉強し、安全管理に取り組んできました。
最近では、ドローンを利用した工事着手測量や完成検査、GPSによる工事管理などを取り入れ、安全性の向上と生産性向上に取り組んでおります。

 

 この研究会の前身である「現場代理人の会」では、他の砂防現場で工事に携わる会社の皆様も参加して、平成11年から「砂防関係工事安全施工管理技術研究発表会」を開催し、それぞれの地域の課題に対しての工夫を紹介し、情報共有に取り組んでまいりました。これ等の取り組みが評価され、平成26年度からは研究発表会が土砂災害防止月間の行事の一環として位置付られ、国土交通省の主催により発展的に引き継がれ今日に至っております。

 

 私たちは砂防という自然環境の一番厳しい場所での工事を行っています。その中で安全対策や工事の効率化などに日々研鑽を続けていかなければなりません。
砂防施工管理研究会の会則に記載されている

 

1.砂防に関する施工管理安全対策の研究
2.新技術活用等現場の諸問題の研究
3.入札・契約・積算の課題の研究
4.国土交通省砂防部保全課が主催する「砂防関係工事安全施行管理研究発表
  会」、事務所の安全協議会等が主催する 「工事安全研究発表会」や「発注
者との意見交換会」への積極的協力

 

に取り組むと共に、地域にあった工法や環境保全の研究など積極的な活動を目ざして頑張っていきたいと思います。皆様の温かいご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。

平成30年6月10日

 

 

 

砂防施工管理研究会代表

松本土建株式会社 代表取締役社長 大池 太士